9月は、朝夕の涼しさから秋の気配を感じる時季です。
近年は、9月でも暑さの残る地域が多いかと思いますが、哀愁のある銘やお道具から秋を感じられれば、心地よく過ごせることでしょう。
『中秋の名月』もありますね。
お月様が好きな私にとっては、お道具の取り合わせもより一層楽しめる時季です。
秋彼岸(あきひがん)
秋分(9月23日頃)を中日(ちゅうにち)とし、前後各3日を合わせた各7日間。
有明(ありあけ)
月が空に残りながら夜が明けること。また、その月。
十六夜(いざよい)
陰暦8月16日(新暦では9月22日頃)の夜。また、その夜の月。
落栗(おちぐり)
地面に落ちた栗の実。
重陽の節句は「栗の節句」とも言われる。旧暦では栗が食べごろになるため、栗ご飯を食べる風習がある。
雁が音(かりがね)
雁(かり/ガン)の鳴く声。また、ガンの別名。
雁は、9月末頃から越冬のため日本に渡ってくる。
菊寿(きくじゅ)
重陽の節句、菊の節句から。
着綿(きせわた)
重陽の節句の前夜に、真綿(まわた)を菊の花にかぶせ、その翌日に、菊の香りや夜露がしみ込んだ真綿で身体をぬぐった。
平安時代の宮中で行われ始め、無病息災と不老長寿を祈願して行われた。
砧(きぬた)
砧打ち*(きぬたうち)。また、それに使う台。台は木や石。
漢詩「子夜呉歌(しやごか)」に、秋の月夜に衣を打つ情景が詠まれている。
また、それに取材した能の演目「砧」がある。
ちなみに、台を砧、木槌を杵(しょ)と言うが、杵の形をした花入れを「砧形(きぬたがた)」と呼ぶ。
*布を木槌 (きづち) で打って布を柔らかくし、しわを伸ばしたり、つやを出したり、暖かみを出す。
玉兎(ぎょくと/たまうさぎ)
月の別名。月に兎が棲んでいるという中国の伝説から。
月の模様について、日本では、望月(もちづき:満月)にかけて、うさぎが餅つきをしていると言われている。
中国では、うさぎが杵(きね)と臼(うす)で不老長寿の薬をついていると言われている。
金風(きんぷう)
秋の風。五行* (ごぎょう) で、秋は金にあたるところから。
*中国古代の学説で、自然や人間・社会は、五つの元素(木・火・土・金・水)による一定の循環法則に従って変化するというもの。
湖月(こげつ)
湖に映った月。
柴の門(しばのと)
柴を編んでつくった戸や門。粗末な住まいのことも指す。
いかにも寂しげな様子から、秋を感じさせる。
水月(すいげつ)
水面に映った月。
添水(そうず)
ししおどし*(鹿威し)。
元々は田畑を荒らす鳥獣を音で脅すための仕掛けだったが、庭園などに設けられ、その音を楽しむようにもなった。
*水の流れを利用して、竹筒が石にあたると大きな音を立てるようにしたもの。
重陽(ちょうよう)
陰暦9月9日(新暦では10月14日頃)のこと。
『重陽の節句』、『菊の節句』とも言われる。
縁起が良いとされる陽数(奇数)の最大数である九が重なる日。
中国では菊酒を飲み長寿を祈る風習があり、それが日本に伝わった。
日本では、平安時代に宮中の年中行事として菊の宴が行われ、江戸時代に五節句のひとつとして定着した。
月影(つきかげ)
月の形や姿。
月の雫(つきのしずく)
露の異称。
野分(のわけ)
野の草を風が強く吹き分けるいみで、秋から冬にかけて吹く暴風。
特に二百十日*・二百二十日*前後に吹く台風
*「二百十日」(立春から数えて210日目、9月1日頃)は、台風襲来の時期で、稲の開花期にあたるため、昔から「二百二十日」(立春から数えて220日目、9月11日頃)とともに農家の「厄日」とされる。
萩の露(はぎのつゆ)
「萩」は秋の七草の一つ。
「露」は晴れた朝に草の上などにみられる水滴で、地面などが冷えて結露する。
二十四節気の「白露(はくろ)」は新暦の9月7日頃。
待宵(まつよい)
陰暦8月14日(新暦では9月20日頃)の夜。その夜の月を待宵月(まつよいづき)と言う。
翌日の十五夜の月を楽しみに待つという意味から。
夕月(ゆうづき)
夕方の空に見える月。
弓張月(ゆみはりづき)/弦月(げんげつ)
半月のこと。上弦または下弦の月。
宵闇(よいやみ)
月の出が遅くなる、宵の暗さやその時刻。特に、中秋の名月を過ぎてからの宵の暗さ。
※参考文献・Webサイト
・淡交社「茶の湯の銘 季節のことば」
・淡交社「裏千家茶道教室 おけいこ暦帳」
・淡交社「茶趣をひろげる歳時記百科 」
・goo国語辞書(小学館提供『デジタル大辞泉』)https://dictionary.goo.ne.jp/jn/
・水野久美(文) 森松輝夫(絵) 2020年「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節季と七十二候」 (株)KADOKAWA
茶の湯の銘季節のことば (淡交新書) [ 淡交社 ] |
茶趣をひろげる歳時記百科 [ 筒井紘一 ] |
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