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5月の着物

5月の着物の装いについて、従来では袷(あわせ)の着物ですが

正式な場以外では

近年の温暖化に合わせて、5月(気温によっては4月下旬頃)から単衣(ひとえ)の着物をお召しになることが一般的になりつつあります。

今年の東京は、4月でも夏日になることがありました。

お箏・三味線のお稽古で着物を着るのに、単衣にしようか迷うときがありましたが、

お稽古は午前中で、気温が上がる前に帰ってこられそうでしたので、

着物は袷、暑さ対策として長襦袢を楊柳の単衣にしました。

長襦袢だけでも体感温度はかなり変わります。

5月の装い例

ご参考までに、季節を感じられる装いの例です。

【着物】
 ・仕立て:袷・単衣・人形仕立て(胴抜き仕立て)
 ・素材 :御召・紋綸子・薄手の紬・植物繊維・縮緬・堅絽・絽紬
【帯】  袷用の帯・単帯(裏や芯をつけない織りの帯)・絽帯・紗袋・絽綴・紗献上
【半襟】 塩瀬羽二重・絽縮緬・楊柳(ようりゅう)
【長襦袢】
 ・仕立て:単衣
 ・素材: 綸子・絽縮緬・紗織
【帯揚げ】綸子・飛び絞り・絽縮緬
【帯締め】組紐・観世撚り・細めのもの
【羽織】 紗絽
【コート】紗・レース
【履物】 エナメル台にエナメル鼻緒
【季節の色】浅紫・花紫・紅藤・灰桜・秘色・水色・トルコ石色・青磁色・白
【季節の柄】あやめ・紫陽花・花筏(はないかだ)・柳・鳥

5月の長襦袢

汗かきの私は、洗える長襦袢を愛用しています。

こちらは肌触りが良く、衣紋を綺麗に抜きやすいのでオススメです。

楊柳生地のため、汗ばんでもサラリとしています。

通し穴がついており、仕立て方にも工夫があるので衣紋が綺麗に抜けたまま、着崩れもしにくいと感じています。

(既製品ながら、裄丈などが自分のサイズに合っているのも嬉しいです)


単衣の季節は短いので、お持ちでない方もいらっしゃるかもしれませんが

少し暑そうな日でも気軽に着られるようになりますので、お一つあると便利です。

暑がりの方は、通年で単衣の長襦袢を着るというケースも近年では珍しくありません。

また、着物も長襦袢も、袖口が見えると袷か単衣かわかります。

正式な場やお茶席などでは、基本的に着物は「袷」、長襦袢は「単」となりますのでご注意ください。
※地域によって異なることもあります。

お茶席の形式によっては、気候に合わせたものを許されている先生方もいらっしゃるようです。

不安がある方は、お師匠様や先輩方にご相談いただくと良いと思います。

(更衣のしきたりが現代版に更新されるとありがたいのですが…)

※参考
・世界文化社「家庭画報特選 決定版 きものに強くなる」
・徳間書店「歴史・文化・伝統がわかる 時代考証家のきもの指南」
・その他、きもの講師認定取得にあたり得た資料(非公開)