手紙やメールで使える季節(時候)の挨拶・結びの言葉を集めました。
6月は、梅雨を表す風情のある表現がお奨めです。
梅雨は、ジメジメして鬱陶しい(うっとうしい)イメージもありますが、不快なイメージが強い表現を避けた方が、読んだ相手も気分が良いことでしょう。
1. 6月 和風月名(わふうげつめい)
現在、一般的に使われている6月の和風月名は
『水無月(みなづき)』
です。
水無月の由来
名前の由来は、6月は暑熱(しょねつ)が激しいために水源が枯渇するという説や、農業の仕事は草取りまでもがこの月に終わってしまい、皆し尽くして無くなった「ミナツキ」の意味など、諸説あります。
6月の異称(異名)
「水無月」以外にも数多くありますが、ここではその一部をご紹介します。
挨拶文中にこれらの異称を使っても、風情が感じられますね。
青水無月(あおみなづき)
涼暮月(すずくれつき)
風待月(かぜまちづき)
松風月*(まつかぜづき)
鳴神月(なるかみづき)
葵月 (あおいづき)
常夏月(とこなつづき)
*:風を待つ(松)月の意から
2. 6月 時候の挨拶
6月の上旬から下旬にかけて季節は移り変わります。
手紙・メールを書いているのは、どのような時期なのか、季節に合うような言葉を選んでみてください。
2-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
季節の言葉に「~の候」「~のみぎり」「~の折」などをつけます。
- 深緑の候
- 入梅の候(ついり:つゆのいり 梅雨入り(つゆいり)の音変化)
- 梅雨の候
- 長雨の候(ながあめ/ながめ:長く降りつづく雨)
- 梅雨空の候
- 梅雨晴れの候
- 田植えの候
- 早乙女の候(さおとめ:田植えをする若い女性)
- 初夏の候
- 首夏の候(しゅか:夏の初め 初夏)
- 短夜の候(たんや/みじかよ:夏の短い夜)
- 小夏の候(こなつ:夏の盛りをむかえる前の時期)
- 麦秋の候(ばくしゅう:麦の取り入れをする季節 初夏のころ)
2-2. 『親しい方への手紙・メール』
- 青葉の季節
- 梅雨入りも間近となりました
- しとしと降る雨の今日この頃
- 梅雨の晴れ間に
- 雨上がりの空
- 暑気日ごとに加わり
- 若鮎が清流に躍り
- 空には白い雲が浮かび
- さわやかな初夏の季節
- 初蝉の声聞く頃
- そろそろ海や山の恋しい時期ですが
3. 6月 挨拶例文
3-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
- 初夏の候、皆様には益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 初夏の候、貴社益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 長雨の候、皆様には益々ご健勝のほどお慶び申し上げます。
- 長雨の候、貴社益々ご健勝の程お慶び申し上げます。
- 梅雨晴れの候、ますますご発展の程お喜び申し上げます。
- 梅雨空のみぎり、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 田植えの候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 小夏のみぎり、〇〇様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 時下益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
日頃お世話になっている方へは、季節の挨拶文の後に次のような一文を添えても良いでしょう。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠にありがとうございます。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠に有難う存じます。
- いつも格別なお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
3-2. 『親しい方への手紙・メール』
親しい方へは、季節の挨拶として、季節を感じるような身近な出来事を書くと良いでしょう。
読んだ相手があなたの情景を思い浮かべられ、より親しみを感じてもらえることでしょう。
- しとしと降る雨に紫陽花(あじさい)の花がますます美しく見える今日この頃です。
- 川辺に蛍が灯をともす季節となりました。
- いよいよ田植えの時期となりました。
- 衣更えも過ぎたというのに、季節が逆戻りしたような梅雨寒の毎日です。
- 梅雨の晴れ間にのぞく太陽は、もう夏の陽ざしです。
※参考文献・Webサイト
・国立国会図書館『日本の暦』「和風月名」https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s8.html
・国立国会図書館デジタルコレクション「古今年中行事通」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444228
・goo国語辞書(小学館提供『デジタル大辞泉』)https://dictionary.goo.ne.jp/jn/
・杉本裕子 2021年「季節と気持ちを上手に伝える 手紙の書き方マナー&文例集」主婦の友社
・水野久美(文) 森松輝夫(絵) 2020年「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節季と七十二候」 (株)KADOKAWA