手紙やメールで使える季節(時候)の挨拶・結びの言葉を集めました。
5月は、青葉が清々しく、風薫る、爽やかな季節を感じさせるような表現をお使いになると良いでしょう。
1. 5月 和風月名(わふうげつめい)
現在、一般的に使われている5月の和風月名は
『皐月(さつき)』
です。
皐月の由来
名前の由来は諸説ありますが、早苗(さなえ)を植える月から、その名がついたと言われています。
5月の異称(異名)
「皐月」以外にも数多くありますが、ここではその一部をご紹介します。
挨拶文中の「五月」にこれらの異称を使うと、風情が感じられますね。
早月 (さつき)
早苗月(さなえづき)
橘月 (たちばなつき)
菖蒲月(あやめづき・しょうぶつき)
佐月 (さつき)
五月雨月(さみだれづき)
田草月(たくさつき)
月不見月(つきみずき)
仲夏 (ちゅうか)
2. 5月 時候の挨拶
5月の上旬から下旬にかけて季節は移り変わります。
手紙・メールを書いているのは、どのような時期なのか、季節に合うような言葉を選んでみてください。
2-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
季節の言葉に「~の候」「~のみぎり」「~の折」などをつけます。
- 新緑の候
- 薫風の候(くんぷう:初夏、新緑の間を吹いてくる快い風)
- 立夏の候
- 若葉の候
- 若葉の目にしみる候
- 春嵐の候(はるあらし:春先に吹く強い風)
- 葉桜の候
- 晩春の候(ばんしゅん:春の終わり 春の末)
- 暮春の候(ぼしゅん:春の終わり 春の暮れ 晩春)
- 惜春の候(せきしゅん:行く春を惜しむこと)
- 老春の候
- 軽暑の候
- 微暑の候
- 向暑の候
- 更衣の候(こうい:衣更え ころもがえ ※一般に6月1日)
2-2. 『親しい方への手紙・メール』
- 風薫る五月となりました
- 新緑の色増す季節
- 大空にこいのぼりの躍るころ
- 風薫る爽やかな季節
- 青葉若葉のすがすがしい今日この頃
- 燕(つばめ)がもう姿をみせ
- 吹く風も夏めいて
- うっすらと肌も汗ばみ
3. 5月 挨拶例文
3-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
- 新緑の候、皆様には益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 新緑の候、貴社益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 向暑のみぎり、皆様には益々ご健勝のほどお慶び申し上げます。
- 向暑の候、貴社益々ご健勝の程お慶び申し上げます。
- 若草の候、ますますご発展の程お喜び申し上げます。
- 春風若葉に薫る候、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 風薫る五月、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 若葉青葉を渡る風もすがすがしい折柄、〇〇様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 時下益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
日頃お世話になっている方へは、季節の挨拶文の後に次のような一文を添えても良いでしょう。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠にありがとうございます。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠に有難う存じます。
- いつも格別なお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
3-2. 『親しい方への手紙・メール』
親しい方へは、季節の挨拶として、季節を感じるような身近な出来事を書くと良いでしょう。
読んだ相手があなたの情景を思い浮かべられ、より親しみを感じてもらえることでしょう。
- 五月晴れの空にこいのぼりが元気よく泳いでいます。
- 街のあちこちから甘いバラの香りが漂ってきます。
- 土佐の方からは初鰹の便りが聞かれるようになりました。
- 今日は八十八夜だというのに、吹く風が妙に冷たく感じられます。
- 近くの田んぼでは代掻き(しろかき)が始まっています。
- 今年のゴールデンウィークはことのほか暖かく、パラソルや半袖姿が目立ちました。
※参考文献・Webサイト
・国立国会図書館『日本の暦』「和風月名」https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s8.html
・国立国会図書館デジタルコレクション「古今年中行事通」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444228
・goo国語辞書(小学館提供『デジタル大辞泉』)https://dictionary.goo.ne.jp/jn/
・杉本裕子 2021年「季節と気持ちを上手に伝える 手紙の書き方マナー&文例集」主婦の友社