Site Overlay

蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)

第二十二候 小満 初候

5月20日~25日頃

蚕(かいこ)が桑の葉を食べ始めるとき

蚕の餌である桑の葉を集める時期でもあります。

蚕(かいこ)とは?

蚕の繭(まゆ)は絹・シルクの原料となります。

絹糸は昔から人々の貴重な収入源とされていて、蚕が「お蚕様」と呼ばれるほどでした。

生糸*(きいと)をとるために、元々は野生の蛾(が)を人が飼い慣らし、数千年かけて養蚕(ようさん)してきました。

*屋内で飼育されているの繭糸数本をそろえ、繰り糸にしたままで練らないもの。

より良い生糸を多く効率的にとるために、品種改良も重ねられてきました。

そのためか、蚕の幼虫はほとんど移動せず、成虫も羽があるのに飛べません…

蚕は人がお世話をしないと生きられないのです。

皇后陛下のご養蚕

皇室の伝統文化継承の一つに、皇后陛下のご養蚕があります。

奈良時代、正月の最初の子(ね)の日に,天皇が田を耕して豊穣を祈願し、

皇后が蚕室を払って蚕神を祀る儀式が行われていました。

その後も、養蚕は、衣服を生み出す重要な産業として発展してきました。

現在、皇后陛下が行われているご養蚕は、明治4年に昭憲皇太后が復興されて以来続いているもので、

日本純産種の小石丸という貴重種が育て続けられていました。

蚕の一生

蚕は卵から生まれて約1か月で繭になり、それが生糸へと加工されます。

繁殖用の蚕は、繭の中で蛹(さなぎ)になり、約2週間で羽化します。

成虫として生きるのは1週間程度。

生まれてから一生を終えるまで、2か月弱という短さです。

繭の中は?

繭にはサナギが入っています。

繭の中のサナギは、日本では佃煮にして食されたり、中華料理や韓国料理にも使用されています。

小さな命、余さず使わせて頂ければ、と思うのですが、

生糸をとって終わりになることもあるようで・・・

正絹の着物に帯、帯揚げ、帯締め・・・

着物好きな私は、お蚕様にとってもお世話になっています。

自然の恵みに心から感謝して、これからも大事に大事に使わせて頂きます。

※参考文献・Webサイト
国立天文台「七十二侯」https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FBCB7BDBDC6F3B8F5.html
国立国会図書館デジタルコレクション「懐中要便七十二候略暦」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/831101
水野久美(文) 森松輝夫(絵) 2020年「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節季と七十二候」 (株)KADOKAWA
エイ出版社(著) 2016年「にっぽんの七十二候」(株)枻(えい)出版社
フリー百科事典『ウィキペディア』「七十二候」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%83%E5%8D%81%E4%BA%8C%E5%80%99
・宮内庁ホームページ「皇后陛下古希記念特別展 皇后陛下のご養蚕と正倉院裂の復元」https://www.kunaicho.go.jp/culture/sannomaru/zuroku-45.html
農研機構「カイコのひみつ」https://www.naro.go.jp/publicity_report/season/134952.html#:~:text=%E7%B9%81%E6%AE%96%E7%94%A8%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%81%AF,%E4%B8%80%E7%94%9F%E3%82%92%E7%B5%82%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82



よろしければ一服どうぞ
(ランキング参加中です)
にほんブログ村 ライフスタイルブログ 和の暮らしへ

にほんブログ村