手紙やメールで使える季節(時候)の挨拶・結びの言葉を集めました。
4月は、本格的な春の到来。桜の便りに心躍る頃でもあります。
暖かな日差しを受けて、自然も人も生き生きとする時期です。
1. 4月 和風月名(わふうげつめい)
現在、一般的に使われている4月の和風月名は
『卯月(うづき)』
です。
卯月の由来
名前の由来は、卯の花が盛りの月であるというのが定説です。
4月の異称(異名)
「卯月」以外にも数多くありますが、ここではその一部をご紹介します。
挨拶文中にこれらの異称を使っても、風情が感じられますね。
卯花月(うのはなづき)
花残月(はなのこりづき)
清和月(せいわづき)
鳥待月(とりまちづき)
鳥月 (ちょうげつ)
鳥来月(とりくづき)
2. 4月 時候の挨拶
4月の上旬から下旬にかけて季節は移り変わります。
手紙・メールを書いているのは、どのような時期なのか、季節に合うような言葉を選んでみてください。
2-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
季節の言葉に「~の候」「~のみぎり」「~の折」などをつけます。
- 陽春の候(ようしゅん:陽気のみちた暖かい春)※「陽春」は陰暦正月の異称でもある。
- 春暖の候
- 温暖の候
- 春陽の候
- 春日の候
- 春粧の候
- 花信の候(かしん:花が咲いたという知らせ)
- 春日和の候
- 春風の候
- 桜花の候(おうか:桜の花)
- 花曇りの候(はなぐもり:桜の花の咲くころの薄くぼんやりと曇った空模様)
- 花冷えの候(はなびえ:桜が咲くころの一時的な冷え込み)
2-2. 『親しい方への手紙・メール』
- うららかな春日和
- 春もたけなわの日和
- 若草もえる季節
- 陽炎*(かげろう)もえる季節
- 花曇りの昨今
- うららかな好季節を迎え
- 花便りも伝わる今日この頃
- 花の便りに心浮き立つ今日この頃
- 花もいつしか過ぎて葉桜の季節に
*春の天気のよい穏やかな日に、地面から炎のような揺らめきが立ちのぼる現象。
3. 4月 挨拶例文
3-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
- 春日の候、皆様には益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 春日の候、貴社益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 春風の候、皆様には益々ご健勝のほどお慶び申し上げます。
- 花信の候、貴社益々ご健勝の程お慶び申し上げます。
- 春日和の候、ますますご発展の程お喜び申し上げます。
- 春暖のみぎり、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 春陽の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 桜花の折、〇〇様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 時下益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
日頃お世話になっている方へは、季節の挨拶文の後に次のような一文を添えても良いでしょう。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠にありがとうございます。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠に有難う存じます。
- いつも格別なお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
3-2. 『親しい方への手紙・メール』
親しい方へは、季節の挨拶として、季節を感じるような身近な出来事を書くと良いでしょう。
読んだ相手があなたの情景を思い浮かべられ、より親しみを感じてもらえることでしょう。
- 花の便りが届く頃となりました。
- 春光うららかな季節となりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
- お花見の季節となりました。
- 土筆(つくし)が可愛らしい姿をのぞかせています。
- 花冷えが続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
- せっかくの桜の花も昨夜の雨で散ってしまいましたが、今日は川面の花筏*(はないかだ)となっています。
- 桜が散り始めている頃ですが、寒の戻りでしょうか。今日は薄寒い一日です。
- ゴールデンウィークも間近となりました。どのようにお過ごしの予定ですか。
- 花吹雪が舞う今日この頃、お変わりなくお過ごしでしょうか。
- 桜の花も散り始める頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
*水面に散った花びらが連なって流れているのを筏に見立てた言葉
※参考文献・Webサイト
・国立国会図書館『日本の暦』「和風月名」https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s8.html
・国立国会図書館デジタルコレクション「古今年中行事通」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444228
・goo国語辞書(小学館提供『デジタル大辞泉』)https://dictionary.goo.ne.jp/jn/
・杉本裕子 2021年「季節と気持ちを上手に伝える 手紙の書き方マナー&文例集」主婦の友社
・水野久美(文) 森松輝夫(絵) 2020年「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節季と七十二候」 (株)KADOKAWA