手紙やメールで使える季節(時候)の挨拶・結びの言葉を集めました。
1月は、年賀状など新年の挨拶があります。
また、「寒の入り」と言われ、「寒中見舞い」を出すのもこの時期です。相手をいたわる表現を加えると良いでしょう。
1. 1月 和風月名(わふうげつめい)
現在、一般的に使われている1月の和風月名は
『睦月(むつき)』
です。
睦月の由来
名前の由来は、
正月には身分の高い・低いを問わず、訪ねあい、睦み合う(互いになれ親しむ、仲よくし合う)ことから、睦月と言われるという説が最も適切とされています。
他の説としては、年の始まりの月ということから「元つ月(もとつつき)」が転じたというもの、自然界では萌える月ということから「萌え月(もえつき)」が転じたというもの、などがあります。
1月の異称(異名)
「睦月」以外にも数多くありますが、ここではその一部をご紹介します。
挨拶文中にこれらの異称を使っても、風情が感じられますね。
初春月(はつはるづき)
初月 (しょげつ)
太郎月(たろうづき)
正月*¹ (しょうがつ)
初空月(はつそらづき)
初春 (はつはる)
初陽 (はつよう)
端月 (たんげつ)
年端月(としはづき)
上春 (じょうしゅん)
孟陽 (もうよう)
華歳 (かさい)
首歳*² (しゅさい)
*1:ここでは一年の最初の月という意味。現代では、年の初めを祝う行事が行われる期間としての「正月」ととらわれやすいため、使用する相手と時期に注意したほうが良いかもしれません。
*2:年の始め。年頭。
2. 1月 時候の挨拶
1月の上旬から下旬にかけて季節は移り変わります。
手紙・メールを書いているのは、どのような時期なのか、季節に合うような言葉を選んでみてください。
2-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
季節の言葉に「~の候」「~のみぎり」「~の折」などをつけます。
- 初春の候
- 新春の候
- 松の内の候(まつのうち:正月の松飾りを立てておく期間。元日から7日または15日まで)
- 頌春の候(しょうしゅん:新春を褒めたたえること)
- 麗春の候
- 真冬の候
- 厳冬の候
- 厳寒の候
- 酷寒の候
- 甚寒の候
- 烈寒の候
- 寒冷の候
- 寒風の候
- 朔風の候(さくふう:北から吹く風 北風)
- 仲冬の候(ちゅうとう:冬3か月の真ん中の意)※「仲冬」は陰暦11月の異称でもある。
2-2. 『親しい方への手紙・メール』
- 謹賀新年
- 初春のみぎり
- 新春の喜び
- 希望にあるれる新年をお迎えのことと
- 新春とはいえ厳しい寒さ
- 早いものでいつしか松の内も過ぎて
- 一面の銀世界
- 例年にない寒さ
- 寒気ことのほか厳しく
- 積雪は軒につかえ
- みぞれ交じりの寒空
- 雪晴れの青空が鮮やかな今日この頃
3. 1月 挨拶例文
3-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
- 新春の候、皆様には益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 新春の候、貴社益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 初春の候、皆様には益々ご健勝のほどお慶び申し上げます。
- 厳冬の候、貴社益々ご健勝の程お慶び申し上げます。
- 寒風の候、ますますご発展の程お喜び申し上げます。
- 厳寒のみぎり、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 厳冬の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 寒さ厳しき折、〇〇様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 時下益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
日頃お世話になっている方へは、季節の挨拶文の後に次のような一文を添えても良いでしょう。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠にありがとうございます。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠に有難う存じます。
- いつも格別なお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
3-2. 『親しい方への手紙・メール』
親しい方へは、季節の挨拶として、季節を感じるような身近な出来事を書くと良いでしょう。
読んだ相手があなたの情景を思い浮かべられ、より親しみを感じてもらえることでしょう。
- 松の内のにぎわいも過ぎ、ようやく正月気分が抜ける頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
- 寒い日が続きますが、お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか。
- 福寿草が初春の光を浴びて、小さな花を咲かせております。
- 寒に入り、ひとしおの寒さが続いておりますが、お風邪など召していらっしゃらないでしょうか。
- 例年になく暖かい今日この頃ですが、皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか。
- 寒中お見舞い申し上げます。※寒中見舞いは、松の内(元旦〜1月7日)を過ぎてから節分(2月3日頃)までに届くように送りましょう。
※参考文献・Webサイト
・国立国会図書館『日本の暦』「和風月名」https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s8.html
・国立国会図書館デジタルコレクション「古今年中行事通」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444228
・goo国語辞書(小学館提供『デジタル大辞泉』)https://dictionary.goo.ne.jp/jn/
・杉本裕子 2021年「季節と気持ちを上手に伝える 手紙の書き方マナー&文例集」主婦の友社
・水野久美(文) 森松輝夫(絵) 2020年「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節季と七十二候」 (株)KADOKAWA