手紙やメールで使える季節(時候)の挨拶・結びの言葉を集めました。
10月は、長さ目が過ぎ、秋晴れの続く快適な時期です。
朝晩は冷え込むようになるのもこの頃です。
1. 10月 和風月名(わふうげつめい)
現在、一般的に使われている10月の和風月名は
『神無月(かんなづき)』
です。
神無月の由来
名前の由来は、10月に全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲の国に集まり、 他の土地では神様が留守になるため「神無月」と言われています。
出雲では「神在月(かみありづき)」と呼ばれています。
神々が集う出雲の各神社では「神迎祭(かみむかえさい)」に始まり、「神在祭(かみありさい)」そして、全国に神々をお見送りする「神等去出祭(からさでさい)」が行われます。
10月の異称(異名)
「神無月」以外にも数多くありますが、ここではその一部をご紹介します。
挨拶文中にこれらの異称を使っても、風情が感じられますね。
神去月(かみさりづき)
時雨月(しぐれづき)
初霜月(はつしもづき)
良月 (りょうげつ)
雷無月(かみなづき)
陽月 (ようげつ)
初冬 (しょとう/はつふゆ)
2. 10月 時候の挨拶
10月の上旬から下旬にかけて季節は移り変わります。
手紙・メールを書いているのは、どのような時期なのか、季節に合うような言葉を選んでみてください。
2-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
季節の言葉に「~の候」「~のみぎり」「~の折」などをつけます。
- 仲秋の候
- 名月の候
- 秋冷の候
- 紅葉の候
- 錦秋の候
- 秋麗の候
- うそ寒の候(うそさむ:秋になってなんとなく感じる冷気)
- 朝寒の候
- 肌寒の候
- 時雨の候
- 冷気の候
- 秋雨の候
- 寒露の候(10月8~22日頃)
2-2. 『親しい方への手紙・メール』
- 稔りの秋
- 紅葉の節
- 秋たけなわ*の行楽シーズン
- 野も山もすっかり秋景色となり
- 木の葉も色づいて
- 日増しに秋も深まり
- 木々のこずえも色づいて
- スポーツの秋
- 味覚の秋
- 爽やかな好季節
- 秋涼爽快のみぎり
- 秋風肌にしみ
- 菊薫るこの頃
- 菊の香りゆかしく
- 秋の気配いよいよ濃く
*たけなわ:行事・季節などが最も盛んになった時
3. 10月 挨拶例文
3-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
- 仲秋の候、皆様には益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 仲秋の候、貴社益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 紅葉の候、皆様には益々ご健勝のほどお慶び申し上げます。
- 紅葉の候、貴社益々ご健勝の程お慶び申し上げます。
- 時雨の候、ますますご発展の程お喜び申し上げます。
- 名月のみぎり、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 秋冷の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 錦秋の折、〇〇様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 時下益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
日頃お世話になっている方へは、季節の挨拶文の後に次のような一文を添えても良いでしょう。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠にありがとうございます。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠に有難う存じます。
- いつも格別なお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
3-2. 『親しい方への手紙・メール』
親しい方へは、季節の挨拶として、季節を感じるような身近な出来事を書くと良いでしょう。
読んだ相手があなたの情景を思い浮かべられ、より親しみを感じてもらえることでしょう。
- 気持ちの良い行楽日和が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
- 秋色もようやく濃くなって参りましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
- 高き峰々の紅葉が燃え立つように、天に映えております。
- はや虫たちの声も消えいるような季節になりました。
- 美味しい新米が出回るようになりました。
- 秋晴れが続く今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
- 虫の声が秋を思わせるこの頃、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
- 高い空に鰯雲が浮かび、まさに秋たけなわです。
※参考文献・Webサイト
・国立国会図書館『日本の暦』「和風月名」https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s8.html
・国立国会図書館デジタルコレクション「古今年中行事通」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444228
・goo国語辞書(小学館提供『デジタル大辞泉』)https://dictionary.goo.ne.jp/jn/
・杉本裕子 2021年「季節と気持ちを上手に伝える 手紙の書き方マナー&文例集」主婦の友社
・水野久美(文) 森松輝夫(絵) 2020年「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節季と七十二候」 (株)KADOKAWA
・出雲大社『出雲大社』「神在月」https://izumooyashiro.or.jp/kamiari02