手紙やメールで使える季節(時候)の挨拶・結びの言葉を集めました。
12月は、本格的な冬の到来です。
また、年末で何かと忙しい時期でもあります。忙しさの中にある相手を気遣う表現も加えると良いでしょう。
1. 12月 和風月名(わふうげつめい)
現在、一般的に使われている12月の和風月名は
『師走(しわす)』
です。
師走の由来
名前の由来は、僧侶が経をあげるために、東西を馳せる月「師馳す(しはす)」という説、
年の終わりという意味で、「し」は「年」の読みが「とし」から「し」に転じたもの、「わす」は「果つ」(終わる)の「はつ」が「はす」に転じたもの、という説もあります。
現代では、年末で人々が忙しく走り回る月、という説明が時代に合っているようです。
12月の異称(異名)
「師走」以外にも数多くありますが、ここではその一部をご紹介します。
挨拶文中にこれらの異称を使っても、風情が感じられますね。
弟月 (おととづき/おとうづき)
限月 (かぎりのつき)
春待月(はるまちづき)
三冬月(みふゆづき)
極月 (ごくげつ/ごくげつ)
臘月 (ろうげつ)
徐月 (じょげつ)
玄冬 (げんとう)
2. 12月 時候の挨拶
12月の上旬から下旬にかけて季節は移り変わります。
手紙・メールを書いているのは、どのような時期なのか、季節に合うような言葉を選んでみてください。
2-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
季節の言葉に「~の候」「~のみぎり」「~の折」などをつけます。
- 初冬の候
- 寒冷の候
- 師走の候
- 年末の候
- 歳末の候
- 歳晩の候
- 霜枯の候
- 孟冬の候
- 初霜の候
- 霜夜の候
- 新雪の候
- 短日の候
- 霜氷の候
- 冬至の候
- 木枯らしの候
- 冬籠もりの候
- 大雪の候(12月7~20日頃)
2-2. 『親しい方への手紙・メール』
- 本格
3. 12月 挨拶例文
3-1. ビジネスや目上の方への手紙など『改まった手紙・メール』の場合
- 師走の候、皆様には益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 師走の候、貴社益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 初冬の候、皆様には益々ご健勝のほどお慶び申し上げます。
- 歳末の候、貴社益々ご健勝の程お慶び申し上げます。
- 初霜の候、ますますご発展の程お喜び申し上げます。
- 寒冷のみぎり、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 霜氷の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 歳晩の折、〇〇様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 時下益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
日頃お世話になっている方へは、季節の挨拶文の後に次のような一文を添えても良いでしょう。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠にありがとうございます。
- いつも一方ならぬお力添えにあずかり、誠に有難う存じます。
- いつも格別なお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
3-2. 『親しい方への手紙・メール』
親しい方へは、季節の挨拶として、季節を感じるような身近な出来事を書くと良いでしょう。
読んだ相手があなたの情景を思い浮かべられ、より親しみを感じてもらえることでしょう。
- 寒さもひとしお厳しくなって参りました。
- いよいよ冬将軍が到来したようです。
- ポインセチアの赤い色が、心を浮き立たせてくれるような今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
- 風花が舞い、寒さもひとしお増してきました。
- もうあと数日で歳が暮れようとしています。
- この一年は夢のように過ぎ去ってしまいました。
- 街のあちらこちらでクリスマスツリーが美しく飾られているこの頃、お変わりなくお過ごしでしょうか。
- 今年も残りわずかとなってまいりました。この一年はどのような年でしたでしょうか。
- なんとなく気忙しい師走となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- 今年もいよいよ押し迫り、さぞお忙しいことと存じますが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。
- 心もせわしい年の暮れ、いかがお過ごしでしょうか。
- 年の瀬も間近になってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- 寒気いよいよ厳しく、皆様にはお変わりございませんでしょうか。
※参考文献・Webサイト
・国立国会図書館『日本の暦』「和風月名」https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s8.html
・国立国会図書館デジタルコレクション「古今年中行事通」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444228
・goo国語辞書(小学館提供『デジタル大辞泉』)https://dictionary.goo.ne.jp/jn/
・杉本裕子 2021年「季節と気持ちを上手に伝える 手紙の書き方マナー&文例集」主婦の友社
・水野久美(文) 森松輝夫(絵) 2020年「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節季と七十二候」 (株)KADOKAWA